今、日本の子ども達に本当に必要な環境とはどんなものでしょうか? 子ども達と日本の将来にとって本当に役に立つ教育とは、一体どんなものであるべきでしょうか? ここで一度立ち止まり、きちんと考えてみる必要があると思います。
ゆとり教育の結果、子どもたちの学力が低下したと言われている中、公立小学校では来年からは週休1日になる学校もあります。これは「ゆとり」以前の「詰め込み」に戻るだけではないでしょうか。詰め込み教育の反省に基づいてゆとり教育をしたはずなのに、その
経験が生かされないのはもったいないことですし、一度「問題あり」とされた詰め込み教育を受ける子どもたちへの影響も心配です。
たとえ詰め込み教育に戻ったとしても、それが日本の将来のためになるかどうかは疑問です。例えば韓国や中国は国をあげて「エリート教育」「英語習得」に力を入れています。こうした国々の子ども達と肩を並べて、熾烈な競争に身を置く覚悟がないなら、詰め込み
教育も効果があるとは言えません。一方、詰め込みとは反対の発想で、「個」を大切にして子どもの「全人格」教育に、国家として取り組む北欧諸国のような覚悟も、今の日本にはないようです。
このように見て行くと、今の日本に必要なのはどこかの国の真似をするのではなく、日本独自の教育環境を作ることではないでしょうか。近年、国際的に事業を展開する企業からは「グローバル人材」を求める声があがっています。大学を出ても就職できない若者が増えていることから、まるで受験勉強のように、親子で就活に取り組む例も見られます。子どもの将来を心配する親ははっきりとした理由もなく「とりあえず英語」を小さいうちから子どもにさせています。しかし、漠然とした不安を抱きながら「英語の勉強」だけを小さな頃からしても、真にグローバル社会で生きていける人材は育ちません。「詰め込み」教育が生みだすことができるのは、平均点の高い「それなりにいい子」達。残念ながらそういう人材はグローバルには活躍できません。
これから必要なのは多様性にとんだ「リアル」な体験・経験をたくさん積むことができる日本独自の教育環境を作ることであり、それを感受性の高い小さな頃から始めることです。今こそ、「世界」を知る大人たち、様々な分野のスペシャリストが協力して、もう一度
「日本のようになりたい」とアジアを始めとする世界の国々からお手本にされるような、そんな教育環境を作る時です。